横瀬駅で出迎えてくれたのは、現職のお坊さん4名。「いらっしゃい!」とフレンドリーな笑顔で緊張を解きほぐしてくださいました。
今回は、お坊さんと共に"札所巡り"と"座禅"を体験。体験していただくのは、池袋線の江古田駅イメージモデルのひかりさんを始めとした、マナさん、しひろさん、成実さん、優さんです!
札所巡りへ出発する前に、駆けつけてくれた秩父札所連合会会長の柴原さんからご挨拶。
「まずは、この横瀬の地へ来てくださってありがとう。今日は札所巡りと座禅体験をされるということで、あまり緊張せず気楽に、横瀬の自然を味わいながら楽しんでいってください!山の天気は変わりやすいので、どうぞ十分に気を付けて!」
会長のお話が終わるころには、雲間から太陽が顔を出し、未体験の世界をサポートしてくれる良い兆しが♪それでは早速、札所巡りからスタートです!案内してくださるのは、 札所32番の荒谷さん(右)と、札所33番の斉藤さん(左)。秩父札所連合会では互いを、「32番さん」「33番さん」と番号で呼び合います。
お二人の後について歩き始めると、道案内の可愛らしい看板が登場。最初に目指すのは、札所9番の明智寺です。
横瀬地域を含め、秩父には34か所の観音霊場があり、文歴元年(1234年)甲午3月18日開創と伝えられています。今回は横瀬駅近くの6番~9番の札所を巡ります。札所の歴史を聞きながら8分ほど歩くと、札所9番の明智寺が見えてきました。お寺に入る前に一揖(いちゆう:軽くお辞儀をすること)して中へ入ります。
【札所9番】明智寺
明智寺の本尊は、安産・子育ての観世音菩薩として知られる「如意輪観世音菩薩」。女性の願いを納めた文塚と地蔵尊が祀られています。
ここで参拝方法について学びます(札所や宗派によって細かな違いはありますが、一般的な流れをご紹介します)。
1.手水舎(ちょうずや)で身を清める
2.自分がつけた灯明(ロウソクで灯火をともす)で線香に火をつけ香炉に立てる
3.参拝をする(一揖し、お賽銭を入れて鰐口(わにぐち)を鳴らす)
4.納経をする(お経を納める)
納経の前に、お坊さんたちの後に続いて合掌したまま三拝。
皆さん、真剣な眼差しで納経します。線香の香りと経が気持ちよく体に染みわたり、心がスッと軽くなったような気持ちに。納経が終わると、32番の荒谷さんが鞄から何かを取り出します。これは秩父伝統の織物「秩父銘仙」を使用した自作の御朱印帳です。女性たちからは「かわいい!」と黄色い声が。
最近では「御朱印ガール」と呼ばれる方々が増え、パワースポットを巡りながら御朱印を集める寺社参りがブームになっています。体験者の成実さんと優さんは、「帰ったらさっそく御朱印帳を買いたいと思います♪」と話していました。
札所9番の参りを終えた一行は、札所7番へ向かいます。複数の札所をお参りすることも修行の一つ。巡礼道と呼ばれる道をゆっくりと進みます。
道中、美しい自然にカメラを向ける姿も。近くを流れる川は底がハッキリと見えるほど透き通り、川遊びを始めてしまいたくなるほどでした。そして歩くこと約10分、札所7番の法長寺に到着。この頃には青空が広がり、長い階段を一段上がるたびに額から汗が流れました。
【札所7番】法長寺
法長寺の本尊は十一面観世音、"牛伏堂"の愛称で親しまれています。また、雄大にそびえ立つ武甲山が霊山とも言われており、その岩肌を背に参拝を行いました。
お灯明、お線香、お賽銭、鰐口を鳴らす所まで行い、納経の際は、こちらのお寺で頂いた経本を手に体験者全員で読経。皆さん読経は初めてとのことでしたが、想いのこもった大きな声で奉納されていました。
2つの札所で参拝を終えると、心なしか皆さんの表情は穏やかに。次の札所へ向かう道中では、札所ごとの特色や、お坊さんの修行について、参拝のマナーなどを質問しながら歩いていました。
札所6番の卜雲寺(ぼくうんじ)へ向かう坂道は、ブドウ畑に隣接しており、旬を迎えたブドウを横目に「食べたーい!」「美味しそう!」といった声が飛び交います。
【札所6番】卜雲寺
卜雲寺に到着すると、皆さん慣れた手つきでお灯明から鰐口まで行い、今回は特別に本堂の中で読経を奉納させていただきました。
卜雲寺の本尊は聖観世音で、元々は武甲山頂の蔵王権現社内にあったものを遷座したそうです。明治9年には火災により卜雲寺本堂は全焼してしまいましたが、長い年月をかけて改修を行い、現在に至っています。また卜雲寺は、徳川家の"葵の紋"を許されている珍しいお寺。火災によって多くは焼失してしまったそうですが、「横瀬に葵の紋を許されている寺があるとは......」と、32番さんも33番さんも驚いていました。
卜雲寺のもう一つの名物、願い地蔵にお参りをしてから、本日最後の札所8番の西善寺を目指します。横瀬の自然を感じながら15分程歩くと、まるでそこだけ別世界のような空間に到着しました。
【札所8番】西善寺
西善寺の本尊は阿弥陀三尊。樹齢600年のコミネモミジ(カエデ)が訪れた者を迎えます。生命力みなぎるその佇まいに、思わず心奪われてしまいそうでした。
爽やかな風に吹かれながら、ここでお昼休憩。歩き回った疲労感と心の充足感からか、皆さん口数は少なく、静寂の中で落ち着いた食事となりました。お腹が満たされたところで、本日を締めくくる座禅体験のスタートです。
座禅の基本姿勢
横一列に並び、西善寺の住職さんから座禅の基本姿勢を学びます(宗派や寺ごとに型は違うそうです)。
1.足を組む
2.背筋を伸ばす
3.肩の力を抜く
4.顎を少し引く
5.目線を1~2m先にやり、半眼になる
6.手をおへその近くに置き、楕円を描くように丸を作る
「1.足を組む」には、両足を組む結跏趺座(けっかふざ)と、片足だけを組む半跏座(はんかざ)、二つの坐り方があります。クッションなどでお尻を高くすると組みやすいです。
基本姿勢をとれたら、一度息を吐きってゆっくりと吸い込みます。座禅は心を無にして精神統一を行う修行。初めから心を無にするのは難しいので、長い呼吸を意識して自然の音に耳を傾けます。
座禅の最中、木の棒(警策:きょうさく)で背中を叩く場面もありましたが、これには「励まし」の意味があり、合掌と一拝で感謝の意を表してから行います。
この後、休憩をはさんでもう一度座禅を行い、最後に質問タイム。そこで体験者のひかりさんから、「想像していたよりも(叩かれたのが)痛くなかったのですが、実際はどれくらいの強さで行うのですか?」という質問が。するとお手本を見せてくれるという住職さん。今回は特別に、後輩僧侶が住職さんを叩くという普段ではあり得ない展開に......。
「日頃の色々な想いを込めて叩きました(笑)」と、後輩僧侶の目がその本気度を語っています。この後、希望者は住職さんからの"励まし"を頂戴し、最後に読経で今回の体験を締めくくりました。
今回の体験者、しひろさん、ひかりさん、優さん、成実さん、マナさんから感想を伺いました。
(左から)
しひろさん「普段は頭で考えることが多いので、"無"を意識することはとても新鮮でした。明日から新しい気持ちで生活を送れそうです」
ひかりさん「いつもなら見過ごしてしまいがちな自然の音や声を、全身で感じることが出来ました。精神が研ぎ澄まされて、新しい境地を発見できた気がします。清々しい気分です!」
優さん「山歩きの季節に最適なコースを一日で巡れた気がします。お弁当も地域の名産がふんだんに使用してあり、とっても美味しかったです!また来たいと思います」
成実さん「札所巡りではたくさん歩いて、その間に色々と自分自身を振り返り、最後に座禅で頭の中をリセットすることが出来ました。まだ30か所あるので、機会があれば残りの札所も巡りたいと思います!」
マナさん「綺麗な空と山のコントラストが印象的でした。通り過ぎていく風も、美しい緑と淀みない川の綺麗さが伝わってきました。秩父という地で座禅をできたことが嬉しいです」
皆さん、非日常の空間で日常を振り返ることができたようです。本日案内してくださった32番さんは、「歩いているうちに自分で自分に問いかける時間があるので、まずは歩いてみてほしいです。そうすると心が良くなっていくのを感じてもらえると思います」と仰っていました。
心と体のリフレッシュに、是非一度訪れてみてください。
※体験の内容は変更になる場合がございます。
※西善寺では一般の方向けの座禅指導を行っておりますので、詳しくは直接お問い合わせください。