昼はカフェ、夜は高級感のある「シェフズテーブル」
秩父神社の参道でもある番場通り沿いに、2022年11月にオープンした「HIMIDORI」。通りに面した側はガラス張りで、開放感のあるつくりになっています。
「地元・秩父で料理を作りたいと、ずっと思っていたんです。13年間の修行を経て秩父に帰ってきて、この店をオープンしました」
そう話すのは店主の黒澤大輔さんです。
昼間はカジュアルなカフェとして営業している「HIMIDORI」ですが、ディナーの時間帯になると"劇場型ライブキッチン"にチェンジ。「シェフズテーブル」と題して、1日10席限定でコース料理を提供します。カウンター席のお客さまの目の前で調理するのが最大の特徴。品数の異なる3種類のコースが用意されていますが、内容はすべてお任せです。
「料理は季節の食材の仕入れ状況によっても変わりますし、お客さまとお話しするなかで『こういうものが食べたい』というリクエストに応えることもあります」とのこと。
おしゃれな内装は「できるだけ自分でやろうと思って、壁も自分で塗りました」というから驚きです。テーブル席部分は白い壁にポップな色合いのソファが並びますが、厨房を取り囲むカウンター席は壁も椅子も黒で統一されたシックな雰囲気。昼と夜のふたつの業態を表しているかのようです。
こだわりのパスタ&見た目も味も鮮やかなかき氷
ランチタイムの人気メニューは「本日の日替わりパスタセット」(1,540円)。パスタは日替わりで1日2種類あり、お肉系・魚介系がラインナップされることが多いのだそう。「上州牛のミートソース」は噛めば噛むほど粗挽き肉の旨味がしっかりと感じられ、もちもちの太麺との相性も抜群です。
6月に販売を開始して以来注目を集めているのが、奥秩父連峰の天然純水氷を使用したかき氷メニューです。
まずご用意いただいたのは、期間限定の「紫陽花 ~あじさい~」(1,280円)。「お客さまからあじさいの花をいただいたのがきっかけで、夏らしさを感じられるメニューとして考案しました」と話すように、色鮮やかで見た目にも涼しげな一品です。
ブルーのシロップには天然バタフライピーが使用されており、付属のレモン汁をかけると紫色に変化! マスカルポーネチーズのクリームにレモンの酸味が合わさると、チーズケーキのような爽やかな味わいが楽しめます。器の下部分には秩父産ブルーベリーのシロップがたっぷりと。
定番メニューの一番人気は「夏≪ナッツ≫の王様」(1,380円)。ユニークなネーミングも目を引く、ピスタチオのかき氷です。シロップにはイタリアのシチリア島にある名産地・ブロンテのピスタチオを贅沢に使用。さらに器から溢れるほどのピスタチオクリームがたっぷり! 粗刻みにしたピスタチオとチョコレートがトッピングされており、ざくざくの食感も楽しめます。別添えのほろ苦いエスプレッソシロップをかけると大人な味わいに。
メニューには他にも、苺とマスカルポーネチーズを組み合わせた「苺マスカル」、白玉や粒あんがトッピングされた「王道抹茶」、ピューレ状のシロップがたっぷりの「南国パイナップル」などのかき氷が並びます。
「今は夏限定としていますが、知名度が上がってきているので、秋以降も続けるかもしれません」とのこと。販売状況はお店のSNSなどをご確認ください。
秩父の太陽のような存在をめざして。他業種とのコラボも
高校卒業後、懐石料理店で和食の基礎を学んだ黒澤さん。その後イタリアンに興味を持ち、イタリアのアマルフィで半年間研修を受けます。帰国後は青山や日比谷などのイタリアンレストランに勤めたのち、飯能の人気ピッツァ店「ピッツェリア ジェコ」の立ち上げに携わりました。それから二度目のイタリアへ。半年ほどで帰国し、恵比寿の老舗イタリア料理店で3年間働いた後、ここ秩父で独立しました。
「HIMIDORI」という店名の由来は、地元に帰ってきたときに秩父の自然に感動したことから。「秩父の太陽のような存在になりたい」という思いや、店内にたっぷり差し込む太陽の光のイメージも込められています。イタリア料理店で料理長や店長を歴任してきた黒澤さんですが、自身の店名にはあえてイタリア料理店らしくない名前を付けたのだそう。
「イタリアンに限らず、新しいジャンルを作れたらいいなと思って。和食を学んだ基礎も生かしながら、もっと自分を表現しようと思っています」
秩父のいいところは「お客さまとの距離感や、お店同士の距離感が近いところ」。「HIMIDORI」でも他の事業者とのコラボレーションを積極的に行っています。
「7月末にはお花屋さんのポップアップストアを、8月には秩父のワイナリーとコラボしたディナーを企画しています。自分のお店だけが流行るのではなく、まち全体で相乗効果を起こし、地域の発展につながればいいなと思っています」
修行で身に着けた確かな実力を土台に、さまざまな挑戦を続ける黒澤さん。「HIMIDORI」の存在は、これからも秩父を明るく照らしてくれそうです。
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