木の質感を生かした温かみのある工房
長瀞で1980年から陶芸体験を提供している「陶芸体験工房 一隅舎」にお伺いしました。

今回陶芸を教えていただくのは、代表の平沼さんです。平沼さんは焼き物が盛んな愛知県常滑市で学んだのち、地元である長瀞に戻ってきて、父からこの工房を継ぎました。
「陶芸は土も釉薬も、自然の中にあるものが原材料です。それらを掛け合わせることで、作品がさまざまな風合いに変化するところが味わい深いですね。粘土の塊を自分の手で変化させていく面白さも陶芸の醍醐味の一つだと思います。工程の一つひとつにポイントがあるので、じっくり楽しんでいってください」

陶芸体験は電動で回転するろくろ台を使った「電動ろくろ体験」と、卓上で手動ろくろを使う「手びねり体験」、素焼きの器に絵を描く「絵付け体験」の3コースから選べます。

「みなさんが作りたいものを自由に作るのがこの工房のコンセプトです」と平沼さん。まずはどんな器を作りたいか、紙に絵を描いてイメージを膨らませていきます。
今回は「電動ろくろ体験」の5,200円コースで、小さめのどんぶりを2点作成し、そのうち1点を焼成します。
土とふれあい、自分が作りたい形に
エプロンをつけて電動ろくろの前に座ったら、粘土の塊を「ドン」と力強くろくろの中央にのせ、粘土を叩いてろくろに密着させていきます。

「まずは、手に感じる粘土のなめらかな感触を楽しんでみてください」と平沼さん。
次は水をかけながら粘土を伸ばしたり、縮めたりする作業。これは土をしっかり締める「土殺し」の作業で、ゆがみやひび割れなどを防ぎ、器の強度を高めます。「回転に負けないように手をしっかり固定するのがポイントです」など、細かいコツも対面で丁寧に教えてもらえるので、初心者でも安心です。

いよいよ器の形を作っていきます。まずは円柱状の粘土を筒状にするために、粘土の頂点に親指を押し当てて、くぼみを広げます。

土の厚さをイメージしながら、下から上に筒を伸ばしていきます。

湯呑のような筒状から、口を外側に広げていきます。手の動かし方や力加減を逐一教わりながら、丁寧に作業を進めます。

仕上げにヘラなどで細部を整えて底を切り、1つ目が完成です。「絵に描いたイメージ通りにできましたね。とても上手です」と平沼さんが褒めてくれました。達成感を胸に、残りの粘土でもう1つの作品に挑戦していきます。

一人ひとりの暮らしを照らす陶芸体験

作品が2つ完成したら、焼き上げる方を決め、釉薬の色を5種類から選びます。

ここで体験は終了。この後、器は工房で乾燥させて素焼きを行い、釉薬を掛けて焼き上げられ、2カ月半ほどで配送されます。
「ろくろで仕上げた土の器が、釉薬をまとった陶器になると、印象も大きく変わります。陶器が手元に届いて見違えた出来栄えに感動し、メッセージをいただくこともあります」と平沼さん。

「一隅舎」は比叡山で修行をした経験もある先代が名付けた屋号です。「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」は天台宗の開祖である最澄の言葉。国の宝は、金銀財宝ではなく一人ひとりの輝きであるという意味だそう。
じっくり楽しめる陶芸体験は、自分とも向き合える時間。自分のお気に入りが増えていく旅と陶芸のコラボレーションを秩父で楽しんでみてください。
※価格はすべて税込
※体験内容は変更になる場合がございます。