定休日のない、おしゃれなコーヒー屋さん
「野方駅」南口の正面にある交番とドラックストアの間のときわ通り商店街に、「DAILY COFFEE STAND」はあります。
店構えはガラス張りの開放的な雰囲気で、おしゃれなメニューやポスターがあしらわれています。店内は白を基調とした気持ちのよいデザイン。間もなく開店時間を迎える頃にうかがうと、お店の中はコーヒーのいい香りが漂っていました。
注文カウンターの隣はイートインスペースになって、広々とした空間にテーブルとベンチが置かれています。奥にはオムツ替えや授乳のスペースがあり、小さなお子さま連れでも安心して休憩できます。
お話をうかがったのは、店主の小川優さん。
「コーヒーの面白いところは、集中したいとき、リラックスしたいとき、おしゃべりするときなど、いろいろなシーンで飲まれること。毎日飲まれるものだから、定休日を設けずに街の人の生活に寄り添えるお店にしたいなと考え、『DAILY COFFEE STAND』と名付けました」
気軽に立ち寄って、カジュアルに楽しめるドリンク
コーヒーは、最もスタンダードなブレンドがすぐに飲める「クイックカップ」(420円~)と、1杯ずつ淹れる「ドリップコーヒー(500円~)」があります。ドリップコーヒーの豆は「いろいろな人の好みに合わせられるように」と、浅煎りから深煎りまで5種類を用意。
今日は人気のアイスカフェラテ(レギュラー500円)をいただきました。エスプレッソとたっぷりミルクがちょうどよい口当たりで、朝の一杯にぴったりです。
夏の定番は、シャリシャリとした食感が楽しめるフラッペ(580円~)。抹茶、コーヒー、モカ、キャラメルコーヒー、ほうじ茶の5種類があり、今回は抹茶フラッペをいただきました。程よい甘さと爽やかな抹茶の風味が楽しめます。
カフェインを控えている方でもコーヒーを楽しめるようにと、デカフェのメニューも充実。コーヒー以外にも、紅茶やチャイ、レモネードにバナナジュース、こども向けにはサイダーやミルクなど、バラエティー豊かなラインナップです。
「コーヒー通の人を喜ばせたいというよりは、街の人の生活に寄り添いたかったので、コーヒーを飲まない人にもおいしく飲んでもらえるドリンクを考えていくうちにメニューが増えていきました」と小川さんは話します。
飽きのこない、素朴なマフィンをコーヒーのお供に
お店で提供されるマフィン(380円)は、やさしい味の「ビーガン」とリッチな「スウィート」に、季節のマフィンを合わせて全12種類。そのうち8種類が日替わりで店頭に並びます。
「『街の人の生活に寄り添うお店』というコンセプトから、毎日食べても飽きのこないスイーツをつくりたいと考え、軽やかで素朴なマフィンに行き着きました」と小川さん。ビーガンマフィンはその名の通り卵や乳製品を使わず、豆乳で焼き上げています。今回いただいたのはなかでも一番オーソドックスな「アールグレイ」。紅茶の香りとやさしい甘さが、コーヒーと相性ピッタリです。
一方、バターや卵を使用した「スウィート」シリーズは少しリッチなライン。「チーズケーキ」はふわっとした食感と濃厚な味でケーキのようなマフィンです。
街の人を想像しながらお店をデザインしていく
個人商店がたくさん集まるこの街・野方で生まれ育った小川さん。広告会社で会社員として働いていましたが、次第に自分で事業にチャレンジしたいと思うようになります。その後、姉夫婦のカフェ兼雑貨屋の立ち上げを手伝うために岡山へ移住。そこでコーヒーへの造詣を深め、自分のお店を開くために東京に戻ってきました。
最初は若者が集まる街で物件を探していましたが、地元の野方に戻ってくると肩の力が抜ける自分に気づいたとのこと。「この街なら10年後も嫌いになっていないな」と、当時まだカフェが少なかった野方でお店を開くことを決めます。
「たとえば、地方から東京に出てきて一人暮らしを始めたばかりで、話し相手が誰もいないけど、この店のお兄さんとは『こんにちは』と挨拶できる......みたいなことが、些細だけど重要だと思っています。この街に来たばかりの人、ずっと住んでいる人、若者、家族連れ。野方で生活するいろいろな人を想像し、それぞれに合った寄り添い方、距離感を大切にしています」と小川さん。メニューやお店づくり、接客のスタイルの根本にあるのは、人とのつながりを大切にする街の人情味なのかもしれません。
人とのつながりはお店づくり面でも力を発揮しています。ショッパーやコースターなどに使われているイラストは、小川さんの友人のイラストレーター、イズミダ・リーさんとのコラボ。店頭物販スペースには、コーヒー豆と並んでTシャツなどのグッズも販売されています。
また、10月には新店舗「DAILY BAKES」を同じく野方に出店予定。定番のマフィンに加えて、スコーンやドーナツなどのおいしいお菓子が楽しめるお店になる予定です。
開店時間を迎えると、若者から年配の方までさまざまな方がお店を訪れます。さっとドリンクをテイクアウトしていく人、フラッペを片手に店内で一息つく若者、コーヒーをかたわらに作業に集中する人、ベンチでおしゃべりに興じるご婦人たち。人々が気持ちよく思い思いの時間を過ごせる街のコーヒースタンドは、野方で暮らす人たちのよき友人のようなカフェでした。
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