作ったパンを食べてもらう喜び

東大和市駅から徒歩約12分。お店は青梅街道沿いから少し脇道に入ったところが入口だ。「天然酵母・自家製酵母のパン」という旗を発見しなければ素通りしてしまいそうなほどシンプルな外観である。

オープンは2009年7月。「幼いころから馴染みのある多摩地区でがんばりたい、という想いからこの店名にしました」と話してくれたのは店長の川島さんだ。たま(=多摩)に加え、初心を忘れないよう"いろは"をつなげて「たまいろは」に。家族で考えて名付けた。
オープン時からパンは川島さんが作り、接客・販売は妹さんが担当。二人三脚で店を切り盛りしている。お母さまがたまにお手伝いに来る日もあるという。

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川島さんは幼いころからお菓子などを作って食べてもらうことが大好きだった。家族がパン好きだったこともあり、自然にパン作りもはじめるように。パン教室にも通いだし、そのころから漠然と店を持つということが頭に浮かぶようになったそうだ。

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仕事を辞め、パン教室の講師を務めるようにもなったころ、天然酵母に興味を持ち始めた。「そのころ、渋谷区にある天然酵母のパン屋さんがやっているパン教室に2年ほど通いました。最後の試験期間では実際の店舗で販売するパン作りを仕込みから体験できて、それがすごく面白かったですね」。作ったものをお客さまに食べてもらうことの喜びを改めて感じたそうだ。

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ホシノ天然酵母で焼き上げた「山食パン」(1斤390円)。驚くほどふっくら、もっちり。小麦の香りもしっかり感じられる、ほかにはない唯一無二の山食だ。トーストすると表面がサックリしてまだ違った味わいが楽しめる。

パンはすべてホシノ天然酵母と自家製天然酵母を使用

現在、お店のパンはホシノ天然酵母とオーガニックレーズンなどから作った自家製天然酵母を使用。イーストフード、保存料は一切使用せず、パンの素材もなるべく国産やオーガニックを選んで使うようにしているという。
「自分で素材をしっかり見て、試食などをしたうえで納得ができたもののみを使っています」と川島さん。クリームパンに入ったカスタードクリーム、お惣菜パンのひじきの煮物も手作りだ。

「安心、安全は基本のこと。食べてくださる方がおいしいと思ってくださることがなによりも大切。そのために低農薬・無農薬の柑橘を仕入れてピールを作ったり、ときに粒あんや白あんを作ったりとパン生地以外もできるだけ手作りを心がけています。素材に目を配りながら季節ごとに作っています」。

小麦粉はすべて北海道産。「春よ恋」を主軸とし、「ユメチカラ」や「ハルキラリ」をブレンドした小麦粉を使用しているが、パンの生地の種類によっても比率を変えたり、季節や気候によって水分量を調節したりしながら日々仕込んでいる。

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パン生地も冷蔵発酵するなど前日、前々日から仕込むものが多く、仕込みにも発酵にも時間がかかる。そのためその日に焼くパンを決めたら作り足すことはできない。

「効率がよくないことも多いですが、自分にとってはおいしいパンにするために必要な時間だと思っています。食べた方が『また食べたい』と思ってくださること、そしてその方の家族や大切な人にも食べさせたいと思っていただければ嬉しいですし、その気持ちで私たちも大切に作って販売しています」。

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10周年に向けて思うこと

2018年の7月で開店9周年を迎えた「たまいろは」。
「この9年間でやれること、やってみたいことが少しずつわかってきたように思います。10周年に向けて、この1年間は今後に向けて気持ちとこれからのことを整理しながらやっていきたいと思います」。

パンはもちろんのこと、例えばスープなどパンに合わせるメニューも考えている。そしてなによりもっと食べることで体が喜ぶ、元気になるものを心がけていきたいと話してくれた。

どのパンも見た目はとっても素朴。だけど天然酵母らしいもっちりした弾力があり、小麦の香りがしてほんのり甘い、やさしい味わいが口に広がる。川島さんの曇りのないストレートなパン作りのこだわりが味に表れているように思った。

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※価格はすべて税込
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