うどんもそばも、手打ちにこだわる

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のれんをくぐり店内に入るとまず目に飛び込んでくるのが、壁に所狭しと貼られた古い看板や柱時計などだ。眺めているとついノスタルジックな気分になってしまう。

「趣味なんですよ」。そう笑いながら話すのは、店長の幸山さんだ。「国分寺 甚五郎」がこの地に開店したのは1988年。この店舗は2号店として2009年にオープンしたものだが、駅前の再開発によって1号店が無くなり、こちらが本店になったという。

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この店の特長は2つ。まず、「そば」と「うどん」の両方を食べられる店であるということ。両方とも手打ちの自家製麺にこだわっており、しかもうどんはコシの強い太めの麺が特長の「武蔵野うどん」だ。

そしてもうひとつの特長は、お酒に力を入れているということ。特に日本酒は小澤酒造の「澤乃井」、石川酒造の「多満自慢」など東京の地酒をそろえている。おつまみも豊富で、いわゆる"ちょい飲み"推奨なのが嬉しい。

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「店の2階では貸し切り宴会もできますよ!」と幸山さん

コシの強さと、盛りの良さが魅力

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「5人のスタッフが毎日交代で麺を打っています。もしかしたら日によって少し食感が違うかもしれませんけど、それも打ち手の個性ということでご了承いただければ」。
幸山さんは苦笑しながらそう語るが、うどんもそばも毎日手打ちで用意するというのはなかなか大変なことなのだ。特に地粉は季節によって含まれる水分量が変わってくるため、一度の麺打ちで加水に500ミリリットルも差が出ることもあるのだとか。

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一番人気のメニューは、この店の看板メニュー「肉づけ」(合盛 860円)。その名の通り、うどんとそばの「合盛」で、ひと皿で両方を味わえるお得な一品だ。鰹だしの効いたつけ汁は、しっかりとした食感のうどんとそば、どちらにもよく合う。特にうどんは、他の武蔵野うどん系の店と比べてもかなりコシが強い印象だ。

また、驚くのはその量! 合盛の場合、普通盛でもなんと600グラムもある。通常の店の大盛りの量だ。「お腹いっぱい食べてほしい」という店側の心意気が感じられる。

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メニューには量について注意書きが。小盛、普通盛、大盛、特大盛が選べるのでよく読んでから注文しよう。

うどんの存在感を活かした豊富な創作麺も魅力

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夏の人気メニュー「のらうどん」(850円)。冷たいだし汁のうどんで、上には茄子・ネギ・いんげんを炒めたものが乗っている。

麺の種類やボリューム、食べ方など、定番メニューだけでも組み合わせが多彩で飽きのこない工夫がなされているが、季節によって限定の創作メニューが登場するのも楽しみのひとつ。取材時には「挽肉とトマトの激辛チーズカレー汁」(うどん 830円)など、夏に向けた変わり種が登場していた。

だし汁を味わうあっさり系からインパクトのあるものまで、幅広いメニューが実現できるのは、ベースとなる武蔵野うどんの存在感が確立されているからこそだろう。 渾身のうどんを深化させた、先駆的なメニューに武蔵野うどんの未来を感じさせるお店だ。

※価格はすべて税込
※営業時間、販売商品、価格等が変更になる場合がございます。
※写真、記事内容は取材時(2017年5月2日)のものです。