両親の想いを背負い、25年前に地元で飲食店を開業
今回訪れたのは、地元民に人気の「そば処 福六十」。自転車で約10分の距離に駿河台大学があるため、部活帰りの大学生から愛されています。週末は、周りの山々を自転車で訪れるサイクリストたちや、車で約8分の場所にあるムーミンバレーパークの帰りに立ち寄るファミリーの利用も多いそう。
店内は全70席。地元の人々が法事やお祝いの席、組合の宴会などに利用しやすいよう、お座敷も広めです。
巨大なかき揚げを豪快に調理してくれるのは、代表の武藤政浩さんです。地元で料理人をしてほしいという両親の希望を背負って、中学校を卒業後、広島や京都の日本料理屋や親戚のそば処などで10年間修行。25年前に晴れて自分のお店をオープンしたそうです。
「名物で地元を盛り上げたい!」とボリューム満点な料理を提案
飯能で生まれ育った政浩さんは、「地元でお店を構えられたら、飯能を食で盛り上げたい!」と思っていたそう。名物で県外からも人を呼び込みたいという熱い気持ちでつくったのが、誰もが驚くビッグサイズの「かき揚げ丼セット」(1,600円)です。かき揚げの高さは約25cm。ごはんの上に二枚、うず高く立てられています。
かき揚げ丼セットを頼むと、かき揚げ丼にお蕎麦とお新香がセットで付いてきます。これは、とてもひとりでは食べきれない量! もともと若い人たちにも気軽に来てもらいたいからと、ボリューム満点の揚げ物をメニューに並べたのが名物発案のきっかけ。完食するお客さまがいればさらに量を増やす、というのを繰り返すうちに今のサイズにまで到達したのだそうです。アメリカンフットボール部や野球部などの大学生や、ロードバイクを楽しむ体力自慢の人々でも食べきれないほどのボリューミーなかき揚げ丼は話題を呼び、今や名の知れたフードファイターも訪れる有名店に。
とはいえサイズだけではなく、味もちゃんとおいしいというのも人気の秘密です。海老とタマネギがたっぷり入ったかき揚げは、カリッと揚げられて美味。25年間つぎ足しているという甘口のたれがかけられているので、お子さまにも好評です。セットのお蕎麦は、北海道産のそば粉を使用し、毎朝政浩さんが手打ちをしている二八蕎麦。めんつゆのカツオ節も毎日削りたてで作るため、風味豊かです。
社員で見習いの武藤彰吾さん(左)と代表の武藤政浩さん(右)。彰吾さんは将来自分のお店を持ちたいという夢があり、アルバイトからスタートして福六十の社員になりました(たまたま同じ苗字なだけで、家族や親戚ではないそうです)。調理の見習いとして働いているため、かき揚げ丼のタマネギの皮をむくのも彰吾さんの仕事。平日は1日60個、週末は1日100個ほどのタマネギの皮をむいているのだそう。
「25年も続けていると、福六十から巣立って一人前になったスタッフはたくさんいます。この店で学び、料理人としてお店を持つ夢を叶える子たちが増えるのはうれしいですね」と、店主の政浩さんは話します。
メニューは400種以上。甘~いうどんも密かな人気
名物のかき揚げ丼セット以外にもたくさんのメニューがずらりと並びます。お蕎麦、うどん、天ぷら、生姜焼き、カレーライス、海鮮丼、うな重など、料理だけで400種以上。どれもランチでも夜でも出しているため、昼から一杯飲みたい人から大人数でわいわい食べたい人まで、あらゆるシーンで利用できます。
珍しいメニューに挑戦したい人におすすめなのが、「あずきミルクうどん」(1,200円)。なんと、うどんなのにスイーツというメニューです。あんこたっぷりのあたたかいお汁粉の中には、うどんと焼きたてのお餅が入っています。
一緒に付いてくる練乳で追いミルクをしながらいただきます。うどんとあんこの組み合わせが意外と合うことにハマる人が多く、若い女性にひそかな人気を呼んでいるのだとか。寒い日もこれをいただけば、体がポカポカ温まりそう。
食べきれなくても大丈夫! パックに詰めてお持ち帰りを
量が多くて食べきれずに残してしまったらお店に申し訳ない。もったいない...という心配はいりません。1個30円でお持ち帰り用のパックを用意していただけます。実際、かき揚げは一枚を店内で食べ、一枚は持ち帰るという人がほとんどなのだそう。
世代を超えて愛されている「福六十」。政浩さんの希望通り、今や「かき揚げ丼セット」は大勢のお客さまが県外からもわざわざ食べに来る名物となりました。大食い自慢でなくてもぜひ一度、超巨大なかき揚げにチャレンジしてみてはいかがでしょう。
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