LINEで送るひだまりのような温かな雰囲気づくりを目指して
「天然酵母ぱん ひだまりcafé nuku nuku」は、小﨑さんが代表兼シェフをつとめるカフェ。もとは埼玉県川口市で営んでいましたが、結婚を機にご主人の地元である元加治に移転しました。やわらかなクリーム色の壁とグリーンの屋根が印象的で、その愛らしい佇まいに誘われるようにエントランスへ向かいます。
入口からカフェまでの小道にはグリーンや花々が植えられ、訪れる人たちの目を和ませています。このきれいな庭は小﨑さんの妹さんが毎日手入れをしていて、寄せ植えなども色のバランスを考えながら行われています。
「こんにちは、いらっしゃいませー」。満面の笑顔で迎えてくださったのは、代表の小﨑さん。訪れたのはランチタイムも落ち着き始める時間帯でしたが、それでもピークタイムと同様に厨房で腕を振るい、お客さまのもとへ直接料理を届けるなど、目が回りそうなほどの忙しさです。そんな中でも常連のお客さまとの会話を楽しみ、SNSを見て訪れたというお客さまとの触れ合いも欠かしません。
店内もクリーム色とグリーンで統一されています。窓側にはテラス席があり、天気の良い日には外でのランチも楽しめます。
店名の「nuku nuku」は、「ぬくもりがあり、あたたかくなる場所でありたい」という思いから命名されました。その名が示すとおり、店内には温かな空気が流れています。
オーガニック食材にこだわった、もっちりふわふわの天然酵母パン
「nuku nuku」の人気商品は、もちろんパン。"天然酵母ぱん"という店名のとおり、オーガニックの小麦粉を使用し、雑穀酵母と水と塩でパン生地を作っています。
「一番上のこどもが食べ物にアレルギーがあり、食べられない苦しみを見ているのが辛くて、なんとかして治してあげたいと独学で食育を学び始めたんです。特に小麦粉はアレルギー反応が出てしまうことから、市販のパンは食べられません。それでもおいしいパンを食べてほしいという思いから、天然酵母のパン作りを始めました」（小﨑さん）
以前は美容師として働いていたという小﨑さん。そのころにご自身も薬品アレルギーを発症しましたが、食生活を改善したことでみるみる元気になったそうです。そうした自身の経験も踏まえて無農薬野菜などオーガニックな食材にこだわったカフェを開業しました。こどもからおとなまでみんなが安心して食事を楽しめるような地域密着型スタイルです。
常連のお客さまに「nuku nuku」のパンの魅力を伺うと、「毎日食べても飽きない味と食感」とのこと。ひとつひとつのパンを丁寧に手作りしているため、メニューのバリエーションは多くありませんが、店頭に並ぶとあっという間に売り切れてしまうほどの人気ぶりです。
中でも人気が高いのがシナモンロール（300円）。マーブル状に練りこまれたシナモンの模様がかわいいと、SNSや口コミで話題になっています。
ピザパン（300円）も人気で、上に乗せる具材は提携先の農家の方からその日届けられる野菜によって変わります。野菜は「固定種」と言われる、その土地に根付いた品種の種で育った野菜を使用しています。無農薬で育てているので見た目は不揃いですが、甘みやうまみは格別なのだそう。
くるみぱん（300円）の中にはこんなにくるみがぎっしり。「塩分の入っていない生くるみを使っています。くるみパンというと生地にくるみが練りこんであるのが普通ですが、もっとインパクトがほしいなと思い、くるみをひとつかみしてボンと入れてみました（笑）」と小﨑さん。大胆な発想が功を奏して、くるみの豊かな風味ともっちりとしたパン生地のハーモニーを堪能できます。
料理は気分次第!? まさに日替わりのランチメニュー
店内では食事も味わえます。一番人気は「きまぐれマクロビランチ」（1,320円）で、前菜の盛り合わせと日替わりのスープ、メイン、玄米雑穀ご飯、プチぱんとボリューム満点です。メニューの内容は毎日小﨑さんの"気まぐれ"で変わるのだそう。
ランチの料金に330円追加するとドリンクがついてきます。おすすめは小﨑さんの妹さんがラテアートを描くカフェラテ。こちらもSNSで人気を集めています。
ドリンクセットでは、酵素ドリンクもオーダーが可能です。自家製の酵素シロップには、上白糖の代わりにアガベシロップときび糖を使用。免疫力、新陳代謝アップの効果が期待できる一杯です。
かつて美容師だったこともあり、小﨑さんの流行のとらえ方やセンスの良さには感服です。しかし、小﨑さん自身は現状に満足することなく、「見て楽しむこと」への試行錯誤はこれからもずっと続くといいます。「写真に映えることはやっぱり大事なのかなと思います。見て楽しんで、気持ちが上がることで、幸せな気持ちになってもらえたらうれしいです」（小﨑さん）。
「nuku nuku」は、のんびりとおいしいものを食べて幸せな気持ちになれる場所。元加治のオアシス的な存在なのかもしれません。
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