親子三世帯で営む荒幡農園は、江戸時代から栽培されている埼玉県の名産品、「川越いも」の産地にあります。さつまいもの収穫シーズン真っただ中の今は、幼稚園や小学校など、都心から団体のお客様もたくさん、芋掘り体験に訪れるそうです。
「今年の夏は暑かったから、豊作だよ」と、荒幡農園の三代目・荒幡さん。
さっそく、荒幡さんの案内でさつまいも畑へ。畑には一面、さつまいもの葉が青々と元気よく茂り、土の中にはさぞや立派なさつまいもが...と期待が高まります。
畑の周りに植えられている柿や栗の木も、たわわに実をつけていました。あたりには、りんりん、と秋の虫の声が鳴り響いています。
そんな秋の畑の中を、荒幡さんの後について奥の方までずんずんと歩いていくと、
「ここら辺が今、ちょうど収穫時だよ」
荒幡さんが、2人がさつまいもを掘りやすいように、鎌で手際よく葉を刈り取ってくれました。
葉がのぞかれると黒い土が現れ、さつまいもの蔓ものぞいています。
「シャベルを使ってもいいけど、手で掘るのがいいね。さつまいもが傷つかないっていうのもあるけど、素手で土に触れると気持ちいいから」と荒幡さん。
確かに、土に触れてみると、柔らかくてふかふか!荒幡農園では、畑の周りにある雑木林の落ち葉を集めて腐葉土にしたものや、米ぬか、籾殻などを畑に撒いて土を作っているそうです。
これなら、ひかりちゃんの小さな手でも掘れそうです。
「幼稚園で芋掘りしたときも、上手に掘れたよ!」と、ひかりちゃんは自信満々。さっそく、親子で挑戦です。
まずは、さつまいもの株の周りを手で掘っていきます。さつまいもの顔が土から出たら、手で揺らしてみて、ぐらぐらと動いたら引っ張ってOK。動かなければ、さらに掘っていきます。
「これはもういけそうだね」
ひかりちゃんが、さつまいもを「よいしょ、よいしょ」と引っ張り上げます。
「引っ張るときは上に。横に引っ張ると折れちゃうからね」と荒幡さん。
「採れた!」
ひかりちゃんの手の中に、ツヤツヤとルビー色に輝くさつまいもが。途中で折れたりしないで、上手に採ることができました。
さつまいもは、1つの株に数本、鈴なりになっています。土を探ると隠れているさつまいももあって、まるで宝探し。「こっちにもあるよ」「こっちもある!」2人は夢中で掘り続けます。
中には、2人が力を合わせて引っ張っても、ぴくりともしない大物も。荒幡さんが、鮮やかな手つきで掘り出してくれました。
ひかりちゃんは、自分の顔よりも大きいさつまいもに「ひゃぁ!」と目をまん丸にします。
今回の2人の収穫は、全部で約4キロ。品種は「紅はるか」です。しっとり系なので、焼きいもや蒸かしいもがおすすめだそう。
「やかんや、ダッチオーブンみたいな厚手の鍋に、その辺で拾い集めた石を敷きつめて焼けば、家庭でもおいしい石焼きいもが簡単に作れますよ」と荒幡さん。
荒幡農園では他に、ホクホクした食感が人気の「紅あづま」も栽培しています。
「土が柔らかくて気持ち良かった!素手で土に触るなんて、子どもの時以来かも。まずは家族みんなが大好きな天ぷらにして、スイートポテトはお菓子作りが得意なパパに作ってもらって、あとは鶏肉とさつまいもの甘辛煮でしょ、それから...」と、横山さんは親子で収穫したさつまいもを手に、ほくほくの笑顔。
さつまいもは堀りたてよりも、1カ月、2カ月と寝かせたほうが、水分が抜けて甘みが増すそうです。
「できればベランダで一日、お日様に当ててから、土がついたまま新聞紙に包んで保管するといいですよ」とのこと。
2人が芋掘りをしている間も、ずっと畑の手入れをしていた荒幡さんは、こんな風に語ってくれました。
「子どもたちには、うちの畑でいっぱい土に触れてほしい。中には、初めて見る虫にびっくりしちゃう子もいるけど、それも良い経験(笑)。土の中にいる虫はおとなしくて、土を耕してくれる人間の仲間だからね。そういうことも土に触れながら学んで、元気にたくましく育ってほしいな」
荒幡農園の芋掘りは、11月上旬頃まで。
この秋は、芋掘りで秋の収穫の楽しみと、土と思いっきりたわむれる気持ち良さを体験してみませんか?
※体験の内容は変更になる場合がございます。