今回体験するのは、都内在住の悉知(しっち)さん。レザー製品が大好きで、現在使用しているレザーの長財布は高校生の時から10年以上愛用しているそうで、今回はその財布と一緒に使えるコインケースを作ってみたいとのこと。
「Restive Horse Ground」は山科さんご夫婦が経営しており、オリジナルブランド製品の製造・販売のほかにKAWAGOE革教室も主宰しております。今回は奥様の通子さんに、サポートしていただきました。
まずは「カードケース」、「コインケース」、「キーケース」の3種の中から作りたい小物を選びます。こちらの教室で使用しているレザーは、植物の樹皮からとれるタンニン剤を使い、日本の職人がじっくりと時間をかけて鞣した植物タンニン鞣しの革(ヌメ革)。使いこむほどにその風合いは変化します。
悉知さんは迷わず「コインケース」を手に取りました。先生に全体の流れを教えていただいたところで早速順序に沿って作っていきましょう!
1. レザーに縫うラインを入れる
ディバイダーというレザーにラインをひく道具を使って、縫う位置がわかるように目印を入れます。このディバイダーはコバ(レザーの縁)からの距離が均一になるように、コンパスのような役割を果たす道具で、今回はコバから3mmの位置にラインを入れます。
2. 縫い穴を開ける
次に縫い糸を通すために、菱目打ちという道具を使って穴を均等に開けていきます。先ほどひいたラインの上に菱目打ちを当て、木槌でたたくのですが、これが思ったよりも難しい。菱目打ちが少しでも斜めになっていると、穴も間違った方向に開いてしまうため、慎重に行います。
レザーの切れ端で練習をして、いざ本番!「あれ?ちょっとずれたかも...」と不安げな表情の悉知さん。
「大丈夫!あとで処理しましょう。菱目打ちが斜めにならないように、少しだけ内側になるように打ってみてくださいね」と、先生の心強いお言葉に、気持ちを入れ替えて真剣な表情で再チャレンジします。
その後は順調に進み、L字の縫い穴が完成しました。
3. 縫い糸を選ぶ
続いては縫い糸の色を選びます。現在愛用している長財布の色に合わるということで白をチョイス。
縫い糸として使用する麻糸を実際に縫う長さの約6倍の長さに切った上で、麻糸の強度を高めるために、ロウを付けます。ロウを付けることで糸自体が切れにくくなり、麻糸の毛羽立ちも抑える役目もあるそうです。
4.手縫いする
下準備をした麻糸の両端にそれぞれ縫い針を付けたところで、手縫いのスタートです。
まずは先生と同じように針とレザーを持ち、動きを頭に入れます。
2本の針を使って、表からと裏からと順に縫っていき、一目縫い終わるごとに、均等な力で糸をひっぱります。この時の力加減で、最終的な仕上がりにも差が出てくるそうです。
黙々と作業を繰り返すこと15分。最後の一目を縫うときにはこの笑みに。単調な作業に没頭できてとても面白い!と早くもレザークラフトの醍醐味を味わったようです。
5.仕上げる
最後に仕上げの作業を行います。コバを紙やすりで整えた上で、溶剤を付け、木のスリッカーで磨くことで、革の切りっぱなし部分を押さえ、ツヤを与える役目があります。この作業を繰り返すほどにツヤと味が出てくるそうです。
ついに完成!約90分で見事なコインケースができました。先生にもキレイな仕上がりだとお褒めのお言葉をいただき、気分上々の悉知さん。これから使い込んで、レザーならではの経年変化を楽しみながら、大切に使っていきたい!と語ってくれました。
店主の山科さんは、料理人としての父親を見て、いつか自分も物作りで人を幸せにできる仕事をしたいと思っていたこともあり、独学で革細工を始めました。もともとは埼玉県坂戸市でブランドを立ち上げましたが、歴史情緒あふれる川越で物作りの教室がしたいと思い、この地に移転してまもなく4年目を迎えます。
「Restive Horse Ground」のロゴマークは2頭の自由な馬と星で象った馬蹄。馬蹄は昔から幸運、愛、忠誠心、誇りの象徴とされ、お客様に幸運を...そんな想いがこもっています。今では地元の方はもちろん、神奈川県や栃木県など遠方から足を運ぶ生徒さんもおり、ご夫婦のお客様への想いが、お客様にも届いていると感じました。
「Restive Horse Ground」は、川越の観光エリアからも歩いて20分程度。体験の前後に川越観光も楽しみながら、自分だけのオリジナル革小物を作ってみるという新たな休日の過ごし方はいかがでしょうか。
※体験の内容は変更になる場合がございます。