みんなが気軽に訪れることのできる場所
北口にある交番を通り過ぎ、すぐの角を右に曲がると見えてくるのが、青字に白の文字で「toi toi toi」と書かれた看板。長年保育士として働いていた店主の下田夏代さんは、自身の出産と育児を経て、「こどもを連れて気軽に訪れることのできるお店を作りたい」という想いを抱き、キッズスペースを作れる物件を探していました。そんなときにたまたま見つけたのが、駅からほど近い場所にある2階建てのこの建物。2018年にオープンして以来、いまでは地元の人や近隣の会社で働く人も多く足を運んでいます。
明るい日差しが注ぐ店内は白を基調としたナチュラルな雰囲気で、清潔感のある落ち着いた空間が広がっています。1階にはテーブル席のほかにカウンター席もあり、ひとりでもゆっくりと食事をすることができます。
毎日でも食べたい優しい味付けの家庭料理
「toi toi toi」の看板メニューは、旬の野菜を使った「日替わり定食」(900円)です。日ごとに変わる一汁三菜を毎日食べに来る人もいて、飽きのこないホッとする味付けを心がけているそう。訪れたこの日は長ネギや生姜が入った「冬っぽいスープ」に、主菜は「チキンとほうれん草のクリーム煮」、副菜は「おかひじきの玉子サラダ」と「大根ごま酢漬け」という構成。下田さんは「おかひじきのように、なじみのない野菜もお客さまに食べてもらえるよう、積極的に取り入れています」と話します。
そんな野菜たっぷり、理想的な栄養バランスのこのメニューは、同じ内容を半分の量にした「お子さま用ハーフ定食」(500円)としても用意されており、こどもと一緒に食べられるというのも嬉しいところ。またご飯なしの「日替わりおかずセット」(700円)もあり、お酒とともに楽しむ人もいるそうです。
この日は日替わり定食に、単品メニューのデザートとドリンクをプラスできるお得な「Cセット」(1,200円)を注文。選んだ「豆乳ガトーショコラ」(単品300円)は、生クリームの代わりに豆乳を使用した軽い口当たりが特徴です。一緒に頼んだ「自家製ホットジンジャー」(単品400円)は、飲むとスパイスと生姜の風味が口いっぱいに広がるおとなの味わいで、身体が芯から温まります。ほかには、地元の名産である狭山茶を使用したサブレなどの焼き菓子もあり、どのメニューにも「身体に優しい、シンプルな食べ物を」という下田さんのこだわりが感じられます。
親も子もリラックスして過ごせる2階の座敷スペース
「気軽に親子で過ごせる場所を」という下田さんの想いを最も映し出しているのが、靴を脱いで過ごす2階の座敷スペースです。コルクマットが敷き詰められた安全なつくりで、1グループにつき500円で利用できる完全貸切制なので、周囲に気兼ねすることなくこどもを遊ばせることができます。また、広めに作られたトイレはオムツ台を完備していて、こどものおむつ替えにも対応しています。
部屋の隅には、下田さんがDIYで手作りしたおままごと用のキッチンセットも。ホームセンターで買ったという本物の蛇口が目を引きます。
隅々にいたるまで「親子で楽しい時間を過ごしてほしい」という気持ちが込められているこの2階のスペースでは、こどもを連れて参加できるアロマ講座や雑貨作りのワークショップなども行われています。不定期ながらも、今後もさまざまな企画を開催していく予定だと言います。
保育士としての仕事にやりがいを感じつつ、「もう一歩踏み込んで、親御さんの助けになれるようなことはないか」と考えていたという下田さんは、出産や育児で仕事を離れてからも、幼児の食や心理に関するさまざまな勉強を続けます。そうしてこどもを持つ親のための場所づくりを模索し、その想いが「toi toi toi」のオープンに結び付きました。
「お子さまに楽しんでもらいながら、親御さんにもゆっくりしてもらいたいですね。育児の悩みなども、いつでも相談してもらいたいです」と語る下田さん。店名はドイツ語で、相手の幸せを祈り応援する意味を持っています。その名前通り、訪れる人のお腹と心を満たし、優しく背中を押してくれる「toi toi toi」。ご家族やお友達と一緒に、そして気軽にひとりでも、訪れてみてはいかがでしょうか。
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