東照大権現を祀る厳かな森に、行灯のように灯るカフェ
本川越駅から東照宮中院通りを東に歩くと、仏閣が集まる緑豊かなエリアがあります。今回お伺いした「CAFE ANDON(カフェアンドン)」は、国が指定する重要文化財である「仙波東照宮」の一角にあります。仙波東照宮は日本三大東照宮の一つで、東照大権現(徳川家康公)を祀る神社です。
鳥居の右手にある社務所と一体の建物が「CAFE ANDON」。鳥のさえずりやそよ風が木々を吹き抜ける森に、凛と佇んでいます。ガラス張りの壁が自然と一体感を生み、夕暮れどきに明かりが灯ると「行灯」のような姿になるそうです。
店内には無垢材がふんだんに使われ、木のぬくもりがたっぷり。「お茶をしながらこの自然を見てもらえるよう、どの席からも境内の緑が見えるようになっています」と代表の関原さんが話すように、窓の全面に仙波東照宮の景観が広がります。テラス席の前には桜の木がズラリ。樹齢300年のエドヒガンもあり、桜の時期は人気のお花見スポットなのだそう。
福島県出身の関原さんは、同郷の友人とコーヒー店を開こうと準備をしていたときに川越を訪れたそう。街の雰囲気が気に入ったことから、川越でスペシャリティコーヒー専門店「COFFEE POST」を創業し、屋台でコーヒーを販売していました。
「地域の方とのご縁で社務所の建て替え計画に加わり、この場所を任せていただくことになりました。『COFFEE POST』は友人に託し、2023年12月に『CAFE ANDON』をオープンしました。ここは市街地の近くですが、緑がたくさんで気持ちがよく、私ももともと好きな場所だったんです。穏やかな空間で川越のおいしいおもてなしを楽しんでいってください」
地域の食材と仲間の情熱が結集したこだわりメニュー
「川越のおいしい食材を活かし、街の仲間たちとも協力してもらいながら一緒にレシピを磨きました」と関原さん。お米や野菜、パン、コーヒーなどの食材は川越よりすぐり。地域の人たちと一緒に作り上げたこだわりメニューがいただけます。
「アンドンチキンカレー」(1,100円)は、ランチタイム(11時~15時)限定の人気メニュー。10時間煮込んだ玉ねぎの甘みと、繊維状になるまで煮込まれた鶏もも肉の旨味がまったりと口の中に広がり、心地よい辛さが追いかけてきます。
ホットサンドは5種類あり、今回は「ハムチーズエッグ」(900円)をセレクト。ハムに挟まる半熟卵とチェダーチーズはコクがあり、パンの内側に塗られたスパイシーな自家製タルタルソースの酸味で、ほどよくあっさりといただけます。
「シュークリーム」(550円)は、ザクザクおいしいシナモンクランブルの生地が特徴。生クリームの下に上品なカスタードクリームが入り、ダブルでおいしさを楽しめます。「スイーツはお店のキッチンでパティシエが手作りしています。来店の楽しみのひとつになればと思い、毎月1、2種類のメニューを変更しています」。
一杯ずつ丁寧に淹れる「ドリップコーヒー」(550円~)は、アンドンブレンド(深煎り/浅煎り)とシングルオリジン(深煎り/浅煎り)、デカフェから選べます。
今回いただいた深煎りのブレンドは酸味と苦み、コクのバランスがよく、スッキリとした味わい。スイーツとの相性が抜群です。
「アンドンブレンドは、浅煎りと深煎りどちらも食事やスイーツと一緒に心地よく飲めるところがポイントです。コーヒー豆を焙煎してもらっている『COFFEE POST』の友人と一緒に考えたオリジナルブレンドです」。
お店のスタッフと地域の仲間と「仙波東照宮」を盛り上げていく
「以前はコーヒー専門だったので、カフェ経営という新しいジャンルに向き合うのは大変ですが、楽しいです。実践して反省、改善の日々です」と笑顔の関原さん。「COFFEE POST」では一人仕事も多かったので、現在はお店のスタッフや神社に関わる方など、たくさんの人たちとチームで働く楽しさも感じるそう。
店名の「ANDON」には、「& ON(恩)」=恩返しという意味も込められています。
「この場所を任されたことは、川越の人たちに自分が認められたようで嬉しかったです。この街で受けたたくさんの恩を、仙波東照宮を盛り上げることで返していきたいですね」と話します。
地域と仲間と、結束を強めながら仙波東照宮を盛り上げるために力を合わせていく。関原さんが歴史上の人物と少し重なるのは、祀られた神様のご加護かもしれません。
川越を訪れたら「CAFE ANDON」でおいしくリフレッシュして、東照大権現のご利益もいただいてみませんか。
※価格はすべて税込
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