ふじみ野の名店が石神井公園に移転
店内に一歩足を踏み入れれば、フランスさながらの雰囲気に包まれる。生ケーキに焼き菓子、マカロンにショコラ、総菜系のパイやクロワッサンまで、驚くほど豊富なスイーツやパンが目に飛び込んできた。そのひとつひとつが存在感たっぷりの佇まい。
腕をふるうのは、今最も注目されているシェフの一人、藤原和彦さんだ。高校生の時に地元の洋菓子店でアルバイトを始めたのが、パティシエ人生のスタート。「アンジェリーナ」銀座店などで活躍後、ロレーヌ地方へ渡仏した。2004年に独立し、ふじみ野に「BLONDIR」を開店。その実力は全国のスイーツファンの間で広く知られるようになり、そして3年前、この街へ移ってきた。
「緑が豊かで、街も人もおおらかな雰囲気。それでいて、都心へのアクセスが良いところが石神井公園駅の魅力ですね」(藤原シェフ)
石神井公園駅から距離があるにもかかわらず、店には人足が絶えない。どれにしようかと選び悩むお客さまたちの、幸せそうな表情が印象的だった。
あらゆる種類のフランス菓子を、高いレベルで揃える
フランス菓子の伝統を大切にし、素材の良さを最大限に引き出す技を追求する藤原シェフ。よけいな飾りやてらいはなく、それでいて完成度の高さは一目瞭然だ。
「お菓子も雰囲気も、フランスにあるパティスリーそのままの店を目指しています」。あらゆる種類のフランス菓子を高いレベルでつくり続け、気候も食材も違う日本でそれを実現しているのだから、並の実力ではない。
コーヒーとともにカフェスペースでスイーツを楽しめる
カフェスペースは店内に4席、外のテラスに5席が用意されている。「カフェ アロンジェ(コーヒー)」(470円)や「エスプレッソ」(420円)など、カフェメニューもシチリア産の豆からこだわりぬく。お目当てのスイーツともにイートインで味わってほしい。
ショーケースには、定番や季節限定のケーキが20~25種類用意されている。悩んだら、シェフの代表作の一つ「デリスピスターシュ」(560円)をぜひ。
シシリー産の皮つきピスタチオからつくる自家製ペーストは濃厚でありながら、自然な風味がやみつきに。かなりの手間と技術がいるピスタチオペーストが、この店の質実な魅力を物語っている。
丸いピンク色のビジュアルに一瞬で釘付けになるのが「ジョリ」(現在、販売終了)。球体の中に詰まっているのは、爽やかな甘みのイチゴムース。一方の土台はビターチョコレートや洋酒を効かせた重厚な味わい。別々でも美味、一緒に味わえばより美味しい。目も舌も満たされる逸品だ。
2皿を完食し、想像のさらに上をいく美味しさに感動。しばし陶然としていると、「1人で7~8個食べていかれる方もいらっしゃいますよ」と藤原シェフ。
だがその気持ち、よくわかる。今日は完売していたけれど、人気の「ミルフィーユヴァニーユ」(530円)があったら間違いなく3個目に手を伸ばしていた。
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