満場一致で選んだ「ひばり」

男性4人でスタートした当初から変わらぬメンバーで、毎日手打ち・手切りの自家製麺を提供している「金豚雲」。

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この店で使用しているのは「ひばり」という名の国産小麦だ。何種類もの小麦で麺を試作し、4人で一斉に"おいしいと思う小麦"を指さした。満場一致で決まったのが「ひばり」だった。茶褐色の麺は一本一本の太さがまばらで、その不揃いな麺が愛おしく感じる。

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創業当初はメンバー全員でこね鉢を使って種を作っていたそうだ。休みなくうどんをつくり続ける今も、手打ちと手切りにこだわっている。手がかけられている分だけ愛情も込められており、綺麗にそろっていないがゆえの親しみやすさは手づくりならではだ。

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思い出のこね鉢は厨房の上に飾ってあり、いつでも初心にかえることができるそうだ。店名の由来は「金:黄金色のダシの色、豚:肉汁を象徴とするもの、雲:ひばりヶ丘のひばりを漢字(雲雀)にして一文字いただいた」という意味がある。小麦の名前といい、つくづく"ひばり"に縁が深い。

つけ麺屋からうどん屋へ転身

「奇をてらわない日常の食べ物を探していたら、武蔵野うどんと出会ったんです。日本三大うどんにも割って入れるほどの可能性を感じました」。
そう話すのは、代表の泉川実さん。元々この場所でつけ麵屋を営んでいた。周りに競合店が増え飽和状態になっていた時、武蔵野うどんと出会ったそうだ。うどん屋へ転身してゼロからスタートすることに決めた。

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つけ汁スタイルはつけ麺と通じるところもあり、転身することに大きな抵抗はなかったようだ。オープン当日から街の人の反応も良く、今日では連日満員もめずらしくない。

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看板メニューは肉汁うどん。同じく人気の辛玉うどんは葱の甘さをより引き立て、肉はほどけるように柔らかい。この日は1辛で注文したが、ピリッとした刺激が食欲を倍増させた。
「その人にはその人の美味しさがあるので、麺の固さや辛さ、葱抜きなどお客さんの好みに合わせてつくります」と泉川さん。

原材料にお金と力をかける

国産小麦を使用した麺はもちろん、どのメニューにも欠かせない豚肉や葱にもこだわっている。 葱は千寿葱(千住葱)と言われる極上の葱を使用。千寿葱は長葱のみを取り扱う草加山柏青果物市場でしか手に入らない。各地から選び抜かれた葱専門農家が育てた長葱だ。

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豚肉は主に町田、埼玉で飼育された国産豚を使用。しゃぶしゃぶに使われる肉と同じ厚さに切ることで、麺との絡み具合も計算している。国産、無添加食材をベースに、すべてが選りすぐりの食材だ。原材料にお金と力をかけているのが舌で感じられる。

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これからの季節におすすめしたいのは「肉しゃぶサラダうどん」だ。うどんの上には7種類の野菜が山盛りになっており、ルッコラやトマトなど夏バテ防止効果もある。

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注目は自家製ドレッシングのつけ汁。リンゴや卵、ニンジンやゴマなど数種類の材料を混ぜたものに、かつおだしをブレンドしている。濃厚なゴマの香りとかつおの風味がうどんと野菜によく絡んで、夏をまるごと食べられるような贅沢感がある。

武蔵野うどんの発展を願い、今日も打ち続ける

金豚雲では、つけ汁以外のメニューはつくらない。「武蔵野うどん」をメジャーにしたいという強い想いがある。
「『西の讃岐うどん、東の武蔵野うどん』と言ってもらえるように、武蔵野うどんを発信していきたいです。この地域の郷土料理になるほどのパワーがあるのに、まだその力を秘めたまま。まずは武蔵野うどんを食べたことのない人に食べてほしいです。そして、町の人たちに『ひばりヶ丘にこのお店があって良かったね!』と言ってもらえるような店づくりをしていきたいです」と泉川さんは語った。

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