LINEで送る都内有数のパンの名店。気取らず、どこか懐かしい雰囲気
看板もなければ目印になるようなものもない、あるのは店頭ののれんだけ。木造の民家を改装してオープンした「パーラー江古田」は、どこか懐かしい雰囲気が漂うカフェ＆ベーカリーです。江古田の街並みにしっくりとなじむ、趣のある佇まいです。
民家のような造りといい、植栽に隠れるように掲げられたのれんといい、ベーカリーショップのイメージとは少し様子が違います。
「私たちのお店の手本となっているのが、沖縄のパーラーとイタリアのバールです。どちらにも共通するのは、"その街にとってかかせない存在"であること。学校や会社の行き帰りに、または休日にゆっくりと。朝から晩まで心地良く過ごせて、自然と足を運べるような店をめざしています」と、スタッフさん。自宅のような佇まいの店構えには、そんな温かな思いが込められていました。
パンは最も品数が揃う午前10時頃の来店がおすすめ
店頭にはテイクアウト用のパンコーナーがあります。２、３人も入るといっぱいになる小さなスペースなので、１組ずつの入店制限を設けているものの、次から次へとパン好きが訪れてはワクワクしながらショーケースを覗いています。
店の奥にある工房では製造スタッフが石挽きで小麦を挽き、生地をこねて、火加減を見ながらパンを焼いています。１日に作るパンは25～30種類。午前８時30分から販売していますが、最も品数が揃うベストタイムは午前10時頃です。夕方になると品薄になってしまうので、早めに訪れることをおすすめします。
ハード系パンをはじめ、具だくさんのキッシュも個性派が勢揃い
「パーラー江古田」といえば、噛むたびに小麦の香りと味わいが楽しめるハード系パンが主流ですが、キッシュなどの食事パンも絶品です。今回は「食べておいしく、見た目も楽しいパン」をテーマに、パーラー江古田のスタッフさんに３種類を厳選してもらいました。
「ほうれん草とリコッタチーズのキッシュ」（594円）は創業当時から人気の商品。サクサクとした生地としっとりとしたアパレイユ（卵の生地）の食感が楽しい一品です。ほのかな甘みとすっきりとした味わいが特徴のリコッタチーズとほうれん草のコク、隠し味のドライトマトの甘みも加わり、口いっぱいに優しい旨みが広がります。
「レーズンとくるみ」（ハーフ334円、ホール648円）は、「これぞ、パーラー江古田のパン！」と言いたくなるようなごつごつしたパン。岩石のようなそのパンをカットしてみると、中には赤ワインに漬けたレーズンと大粒のくるみがたっぷり入っています。噛むとライ麦の香ばしさが口の中に広がり、ジューシーなレーズンからは果汁があふれ出します。
「ブルーチーズのくるみパン」（313円）はプレッツェルを思わせる形。生地にはブルーチーズが練り込まれていて、独特の風味と酸味を堪能できます。かりっと焼いたパンの香ばしさ、くるみのおいしさ、表面にかけられたはちみつのほんのりとした甘みも加わって、ハード系でありながらおやつパンのように楽しめます。ワインとの相性も抜群です。
カフェスペースで絶品サンドイッチやできたてのパンを満喫
カフェスペースにはカウンター席とテーブル席があります。カウンター席からは料理を仕上げる様子を目の前で見られます。
「パーラー江古田」のパンを味わい尽くせるメニューが「スペシャルパンセット」(1,375円)です。６～８種類のパンをスライスして少しずつ楽しめる、まさにいいところどりの一品。パンにつけるものはその時々で異なりますが、取材日はカルピスバターやオリーブオイル、チーズ、自家製のパテ、ピクルスがついていました。そのままでも十分おいしいパンたちですが、"味変"もぜひ試してみてください。
食事系パンでは、半熟の卵がのった「クロックマダム」(1,551円)が人気です。ペシャメルソースをたっぷりとかけて焼き上げたパンをカットしてみると、分厚い自家製ハムが姿を現します。とろりとした卵とハム、セミドライトマトのハーモニーが絶妙で、それに追随するようにもっちりとしたパンのおいしさが口の中にあふれます。
飲み物は「カフェマロッキーノ」（506円）など、イタリアのバールを彷彿とさせるようなコーヒーメニューが豊富です。ワインも種類が充実しているので、パンや料理に合わせてスタッフさんにおすすめしてもらうのも一案です。
常に賑わいを見せる「パーラー江古田」ですが、せかせかとした慌ただしさはなく、心地良い温かな空気の中でおいしいパンを楽しむことができます。今度のお休みには、パンを求めて「パーラー江古田」を訪れてみませんか。
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