目指すのは、地域の台所のような店づくり
明るくて開放的な内装の店内には65の客席があり、連日多くの人が訪れています。お店の外には広々としたテラス席も。
オーナーの岩澤正和さんは、ナポリピッツァの世界大会で1位を獲得した経験を持つ、一流のピッツァイオーロ(ピザ職人)です。長く住み土地勘のあった練馬区で縁あって現在の物件とめぐりあい、2012年にお店をオープンさせました。
お店とお料理を案内してくださったのは、明るい笑顔と弾む声が素敵なサービススタッフの歌川佳さんです。長く飲食業界で働いていた歌川さんは、国産小麦の開発などで業界でもすでによく知られていた岩澤さんと、ピッツァの東北大会で出会いました。初めて「FILIPPO」を訪れた際には、国産小麦で作られたピッツァの味や、生産者やそのストーリーが見える食材を使ったメニューに驚いたと言います。「気軽にフラッと立ち寄れる、地域の台所のようなお店作りをめざしています」と、お店と地域について語る姿が印象的でした。
生産者の顔が見える食材と、世界1位のピッツァ
最初にいただいたのは、練馬をはじめとする、生産者の顔が見える野菜をふんだんに使った「10種の彩りごちそうサラダ」(1,280円)です。
「『FILIPPO』では練馬や西東京、全国の付き合いのある農家さんから取り寄せた野菜を扱っていて、サラダに入れる野菜もその日の入荷状況によって変わってきます」と話す歌川さん。お店のある練馬は23 区内の農地面積の約4割を占める農業が盛んな地域で、徒歩圏内にも農園があり、10年以上の付き合いのある農家さんもいるそう。「野菜の食品ロスに悩む農家さんと連携して、旬の野菜を採れたぶんだけ、旬のうちに食べてもらえるように工夫しています」と歌川さんは言います。
この日は大泉学園にある山口とまと農場のフルティカトマトや旬のスナップエンドウ、ヤングコーンが入ったサラダで、野菜の味が濃い、彩り豊かな一品でした。
お店を代表する看板メニュー「マルゲリータSTG」(3,060円)は、創業時にイタリアから取り寄せた窯で焼き上げられます。生地に使用されているのは北海道の江別製粉と共同で開発した国産小麦で、ナポリピッツァの本場・イタリアが加盟する、EUのSTG(伝統的特産品保証)に合格したものです。他にも生地の材料や焼きあがった際の厚み、窯の取り扱い、仕上がりの温度などさまざまな基準をクリアしたFILIPPOのマルゲリータSTGは、「伝統的特産品のナポリピッツァ」としてSTG認定を受けています。
具材はイタリア産水牛のモッツァレラチーズ、塩でマリネしたトマト、バジルのシンプルな構成。「ピッツァの寿命は3分と言われています。熱々のうちにどうぞ」と歌川さんに促され、提供されたばかりのピッツァを頬張ると、香ばしさと素材の旨味が口いっぱいに広がり、なんとも言えない幸せな気持ちに。
最後にもう一品、「国産自然牛のボローニャ風ミートソース」(2,380円)をいただきました。パスタに使用しているのも、FILIPPOが共同開発した「匠のパスタ」で、乾麺なのに生麺を食べているかのようなモチっとした食感が特徴です。この日は練馬産のズッキーニも入って、コクのあるミートソースのアクセントになっていました。
練馬から飲食業と食の大切さを発信
2023年、働き方や使用している食材やなど、その取り組みが食の持続可能性に貢献していると評価され、日本サステイナブル・レストラン協会の「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2023」で大賞を受賞したFILIPPO。オーナーの岩澤さんは、「お店でおいしいものを作るだけではなく、食の大切さを発信していくこと、飲食業を社会的意義のある仕事にしていくこと、そしてそういった意識を持つスタッフを育成していくことが使命だと思っています」と語ります。
お店で働く人とその食材を作る生産者、そして訪れるお客さまと、関わるすべての人を笑顔にする「PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO」で、特別なひとときを過ごしてみませんか。
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