300種類を揃える老舗のお茶問屋へ

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小平市には昔懐かしい丸ポストが数多く残っている。こちらは全長2.8mの「日本一丸ポスト」。投函口が2つあり、通常のポストと同じように利用できる。

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店へ入ると、店じゅうを埋め尽くすお茶の数々。
さらにお茶を使ったチョコレートや焼き菓子、アイスクリームまで。なんと300種類ものオリジナル商品を販売しているという。
「お茶問屋のイメージでいらっしゃると、驚かれる方が多いですね。お茶の楽しさをもっと知ってもらうために、日々新商品を考案してきました」。
笑顔で迎えてくれたのは店主の鈴木庸夫さん。100年以上続く「鈴木園」の三代目当主だ。

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「さ、まずは一杯どうぞ」と、狭山緑茶をごちそうになる。
根っからのコーヒー党の私。こうやってきちんと淹れてもらったお茶をいただくのは、久しぶりかもしれない。やはり日本茶がもたらしてくれるリセット感は、ほかの飲み物とは比べがたい。ホッと心がほぐれる。

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小平なのになぜ"狭山茶"?

「鈴木園」の創業は明治34年。当時、茶は生糸と並ぶ主要輸出だったことから、小平の地でも茶葉がよく生産されていたという。
「小平なのに、なぜ狭山茶の問屋を始めたのかと思うでしょう? 創業当時、茶葉を加工する工場が狭山にあったことから、小平産など東京で収穫されたお茶も『狭山茶』と呼ばれるようになったんです。今現在の小平でも、畑の垣根として茶葉が栽培されているんですよ」。(鈴木さん)

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厳選された狭山茶各種をはじめ、煎茶のオリジナルブランド「玉川上水」シリーズや高級玉露など、そのバリエーションはお茶問屋ならでは。小平産の紅茶も気になるし、「コーヒーほうじ茶」や「桃の緑茶」といったフレーバーティー(各種540円)も、味わってみたくなるものばかりだ。

ここにしかない"小平ブランド"の銘品

数あるお茶商品のなかでも、「丸ポスト銘茶」(1,620円)は手みやげにうってつけ。缶デザインのモチーフは、店の駐車場にもある小平名物の丸ポスト。その中に自慢の狭山茶を詰めた、なんともキュートな一品だ。お茶を飲み終わったあとは、ペン立てや小物入れにも使えそう。

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「もっと小平をアピールできる商品をつくりたいと思い、15年前に考案しました。それでお茶缶の製造メーカーに依頼したところ、最初は反対されましたね。『お茶缶に赤?ありえない』と(笑)。当時はお茶缶といえば、しぶい色のものしかありませんでしたから」。(鈴木さん)
それまでのお茶の常識を覆すアイデアは大当たり。「丸ポスト銘茶」はお店のロングセラー商品になった。鈴木さんの"小平ブランド"への思いはお茶だけにとどまらず、ブルーベリージャムやワインなど、小平の特産品をとりいれた銘品を次々と生み出している。

お茶問屋のこだわりを込めた抹茶チョコレート

そして、現在とくに力を入れているのがスイーツ。なかでも試行錯誤を重ねて生まれたのが、お茶を使用したロールスティックタイプのチョコレートだ。
「お茶を飲むとお茶請けが欲しくなりますよね。だったら、うちのお茶に合うスイーツ商品もつくってしまおうと」。(鈴木さん)
お茶とチョコレートの絶妙の相性を見いだした鈴木さんは、まずは抹茶チョコレートの開発に取り組む。抹茶はお茶会で使う一級品を使用し、お茶屋ならではのこだわりを込めた。

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さっそく「狭山抹茶チョコレート」をひとかじり。なめらかな口溶けとともに、抹茶の深い香りとほろ苦さが広がる。また、お茶をひと口飲んでから再びチョコレートに戻ると、驚くほどその味わいが変化するのだ。チョコレートの上品な甘さと抹茶の芳醇な風味が浮かび上がり、これぞ至福のマリアージュ!
昨今スイーツの世界で抹茶は定番となったが、違いは明白。ほうじ茶や玄米茶を使ったチョコレートもあり、こちらも鼻腔を抜ける香ばしさがやみつきになる。甘いものが得意ではない方にも、ぜひおすすめしたい。

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変幻自在なお茶のバリエーションに、すっかり引き込まれた今回の取材。
「お茶の文化をもっと盛り上げてくためにも、世間のニーズを研究して努力していかないと。そして『小平といえば鈴木園』と言ってもらえるように、お茶の魅力を発信し続けます」。(鈴木さん)
長い歴史のなかで、人々の日常を豊かにしてきたお茶。これまでも、これからも変わることはない。

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