池袋線「秋津駅」から車で約10分、「保谷納豆」の工場に到着。
豆の香りが充満する工場の入り口には、何やら四角い物体が並んでいます(この正体は後で分かります)。
普段は見ることのできない工場内を、本日は特別に見学させていただきます!用意してくださった作業着に着替え、"納豆ができるまで"を学びに出発!
1.水洗い
こちらは大豆が保管されている倉庫内。9割が国産大豆で、主に北海道の鈴丸(小粒)とユキホマレ(大粒)を使用しているそうです。これらの大豆を水洗いし、虫食いや割れている豆、土や細かいゴミなどを取り除きます。
2.浸漬(しんせき)
綺麗に水洗いした大豆は、地下150mから汲み上げた富士山系伏流水に浸します。浸漬時間は季節や豆の種類によって異なりますが、今の季節だと12~14時間ほど浸すそうです。
栄養分も一緒に溶け出すので、水の量や浸漬時間を調整。この工程が納豆の出来上がりを大きく左右します。
3.蒸煮(じょうしゃ)
浸漬した大豆は、大きな釜で圧力をかけて加熱します。
浸漬した大豆は2倍ほどの大きさに。
圧の加減を一定にすることで、豆の色や形が均一に仕上がります。浸漬と同じく、生産上重要な工程で、煮方と呼ばれる方々によって行なわれているそうです。
4.納豆菌接種
蒸煮した煮豆に、無味無臭の納豆菌をかけます。
ここで、納豆菌のかかった煮豆を味見させてもらうことに!
煮豆を口に入れた今さん、「とってもフワフワでおいしい~!」と、顔がほころびます。
編集部スタッフも一口いただきましたが、甘くてホクホク♪これがどうやって納豆に変身するのでしょうか!
5.容器に詰める
納豆菌をかけた煮豆を容器へ入れます。機械での作業に人の手を加えて、より丁寧な仕事を進めているそうです。
こちらは経木(きょうぎ)納豆の作業台。熟練の技を持った方々が手作業で経木に豆を入れます。
6.発酵
容器に入れた豆は、一定の数が集まったら発酵室へと運びます。この発酵の工程に、他にはない秘密が隠されているようです。
その秘密とは、「炭」です。先ほど工場の入り口で見たのは、なんと七輪でした!
岩手県産の楢の木炭を一時間かけて焚き、室内に二酸化炭素を充満させます。こうすることで、納豆菌の働きは一旦抑制されます。
あえて過酷な状況にした後、一気に酸素を送り込むことで、納豆菌は貪欲に活動を始めるそうです。これが「炭火造り」と呼ばれる手法で、保谷納豆が特許を取得している製法。
また、発酵室内には発酵臭の脱臭や、空気清浄、吸湿性に優れた備長炭を敷き詰めているので、爽やかな香りの納豆を作ることができるそうです。
7.包装
発酵後、冷蔵庫で丸一日熟成させた納豆を包装します。
長年培われてきた技術と、惜しみない愛情と手間をかけた保谷納豆は、こうして私たちの食卓へ届けられているのです。納豆がどうやってできるのかを学んだ後は、先ほど紹介した「経木納豆」作りの一部を体験させていただきます!
※経木は、木を紙のように薄く削ったもので、昔は生鮮食品を包む馴染みの深い包装材。殺菌作用があるため、鮮度と味を保つ効果があるそうです。保谷納豆では赤松の経木を使用しています。
まず、豆を入れるポケットを作ります。二等辺三角形になるように作るそうですが、これが一番重要で難しい作業。
ポケットができたら、豆を50g入れます。こちらで働く皆さんは、長年の勘でサッとすくって計量。寸分違わず華麗な手さばきは、見る者を圧倒します。
計り終えたら、形を整えて終了。ここで綺麗に形ができあがっていないと、三角の包装に入れることができないので、"皆さんあっての経木納豆"といっても過言ではありません。
今さんは、「この作業を、素早く正確にできるなんて本当に素晴らしいです。間近で見て、正に職人技!という感じでした!」と、興奮気味で話してくださいました。
さて、工場見学の次は、待ちに待った試食のお時間!待ちきれない様子の今さんは、まるで給食前の子どものようにキラキラとした目で納豆を見つめます。本日いただくのは、先ほど体験した「経木納豆」です!
きれいに包まれた経木を開き、納豆専用の小鉢へ豆を投入。左右20回ずつかき混ぜ、タレを入れて、もう一度お好みでかき混ぜます。いい具合に糸を引いた納豆をご飯へ......。納豆好きにはたまらない光景です。
「いただきます!」の声と同時に、納豆ご飯を口へ運ぶ今さん。しっかりと納豆の味を噛み締め、言葉よりも先に表情が美味しさを伝えてくれました。
「さわやかな豆の香りが口いっぱいに広がって、本当においしい!丁寧に作られた現場を見たので、よりおいしく感じます。他の納豆が食べられなくなりそうです(笑)」
ひきわり納豆推奨派の編集部スタッフもいただきましたが、まるで豆が口の中で踊っているようでした。もっと、納豆が好きになってしまうこと間違いありません!
創業から半世紀以上、納豆を作り続けてきた保谷納豆。
「シンプルな材料だからこそ、作る過程で手間をかけ、他と違うところを見出す必要がある」
そう話すのは会長の木内節雄さん(写真右)。「家族を守りながら工場を大きくしたい」という想いで、納豆一筋の人生を送ってきたそうです。
社長の木内茂則さん(写真左)は、「外国の方にもっと納豆を知ってもらいたい、海外へ広めていきたい」という熱い気持ちを話してくださいました。濃厚な豆の香りと、抜群の歯ごたえ、そして納豆への愛情を感じたい方は、ぜひ一度、保谷納豆を食べてみてください!
※現在は東京エリアを中心に、イトーヨーカドー、ヤオコー、サミット、いなげや、成城石井などのスーパーの他、工場でも購入することができます。
※体験の内容は変更になる場合がございます。