歯科技工士のキャリアを経て、カフェ経営へ
「flower」は雑貨や焼き菓子の販売を行うカフェ。店頭には店名の通り、お花をモチーフにした雑貨やドライフラワーブーケなどがならんでいます。地域の人に支えられ、2022年8月で5周年を迎えたというこの店。その魅力はどんなところにあるのでしょうか。
オーナーの川村さんは実は6年のキャリアを持つ元歯科技工士。そのストーリーは思いがけないことからスタートします。
「元々、いつかは独立して歯科技工所を開業したいと考えていました。そこで歯科技工所を開設する場所を探していたのですが、今の場所を紹介されて見た瞬間、まるで閃光が走ったような衝撃があって...。そこから発想の転換が始まりました」。
元々人を喜ばせることが好きで、人と直接関わって喜ぶ顔が見たいと思っていた川村さん。「この場所なら温もりのある空間を作れるはず」と直感。それならば、この空間を生かしたカフェを作ろうという発想に至ったといいます。
小さなお子さま連れでも居心地の良い場所を
ひょんなことから新しい道に突き進むことになった川村さん。「カフェを始めようと思い立った5年前、この辺りにはこども連れのママが楽しめる場所がほとんどありませんでした。当時はまだ独身でしたが、近い将来、自分もこどもができた時に安心して過ごせる場所がほしい。こどもたちがふらっとやってきても安心できる場所があるといい。ないなら自分で作ってみようと考えたんです」。
店の方向性が固まると歯科技工士の職場を退職し、まずはカフェやレストランでの経験を積みました。いよいよ自分の店をオープンする時には川村さんはまだ20代。「地元で農家をしている方が『良かったらうちの野菜を使って』とわざわざ声をかけてくださったことも。『若い世代が街の活性化に貢献してくれるのは嬉しい』と地域の人たちが力を貸してくださいました」。カフェのオープンを通じて、この地域で暮らす人たちの温かさを肌で感じることが増えたといいます。
「罪悪感のない健康的な外食」を楽しんでもらいたい
「flower」では毎日食べても健康を維持できるような"家庭料理の外食"を心がけています。使用する野菜は小平産のものをできるだけ取り入れており、他にも定期的に山梨に出かけ、高原野菜や果物も現地の農家から購入。安心できるものを選んで使用しているそう。
人気メニュ―の「タコライス」や「週替わりプレート」(各1,000円)は、野菜もたっぷり摂れて食べごたえもしっかりキープ。味付けはできるだけ控えめに仕上げています。
この日の「週替わりプレート」のメインはサクッとした揚げあがりのチキンカツ。たっぷりの野菜と一緒に食することでバランスよく、罪悪感なく食べられるのが嬉しいですね。
もちろんスイーツもヘルシーに。国産米粉を使ったクッキー(一袋300円〜)はさっくりほろりとした食感で、秋田産きび砂糖の甘味がやさしく口に広がります。
「本日のスイーツ」も自家製です。この日はブドウにマンゴー、ブルーベリーなど、フルーツがぎっしり詰まった贅沢なフルーツタルトでした。(単品580円・ドリンク付き980円)
個性豊かなスタッフみんなで作り上げる店
2019年にはコロナ禍となり「flower」も休業を余儀なくされましたが、再開後には20席だった店内を8席に減らし、抗菌仕様にリフォームして感染症対策に対応。「実は、コロナ禍に入って売り上げが伸びたんです。食に対する意識が高まり、外食にも健康的なものを求める方が増えたこともあるのでしょうね。ありがたいことに、たくさんのお客さまに支えていただきました」。苦境に立たされた時にも、地域の人に支えられていることを再認識するきっかけになったそうです。
現在は定休日なしで営業している「flower」。それは「いつ店を訪れてもがっかりしないように、気持ちに応えたい」という地域の人たちへの想いから。川村さんと共に店を守るのは、幅広い年齢層のスタッフ9人です。「栄養士の資格を持っていてメニュー開発に力を貸してくれる人や、今どきの流行をキャッチして店に取り入れてくれる学生さん。年齢や経験、個性が違うことで、それぞれに役割が生まれています。みんなが積極的に店の運営に参加してくれているんですよ」と話す声は、本当に嬉しそう。メニューのイラストは学生さんが描いてくれたそうです。
人生の舵を大きく切ってたどり着いた今、川村さんはこの店が「本当に自分らしさを発揮できる場所」だと感じているそう。川村さんの想いがこもった「flower」に、また元気をもらいに行きたい。街の人たちもそんな想いで店に足を運び、笑顔を咲かせているのでしょう。
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