おしゃれカフェ?ラーメン?ユーモアあふれる世界観

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今回訪れた「らーめん カッパハウス」は、株式会社カッパジャパンが展開するラーメン店グループのひとつ。池袋線の踏切を渡った先に見えてきたデザイナーズマンションの1階にあります。初見ではカフェにも思える店構えですが、軒先に大きなヤカンと営業中の立て札。程よいミスマッチ加減に心をくすぐられながら店に入ります。

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所々にあしらったタイルとナチュラルカラーの内装がやはりカフェ感を醸していますが、入口横に置かれた券売機がラーメン店であることを静かに主張しています。いたる所にカッパをモチーフにしたイラストや小物が置かれ、何やら楽しげな雰囲気です。

代名詞的存在のとまとらーめん。キーワードは「30年愛される味」

常時提供しているのは、看板メニューのトマトラーメンとつけ麺、毎月替わる限定メニューの3品。店主の島田拓郎さんがオススメしてくれた「味玉とまとらーめん チーズごはんセット」(1,200円)と、限定の「背脂煮干しらーめん」(900円)をオーダーします。

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「味玉とまとらーめん」は、濃厚な動物魚介スープに特製トマトソースを掛け合わせた一杯です。トマトの爽やかな酸味と甘味がスープをうまく包み込み、実際に飲んでみると口当たりはとても繊細で軽やか。茹でキャベツや刻みタマネギの食感もアクセントとなり、もう一口、もう一口と面白いほど飲めてしまいます。当初は"30年愛される味"をコンセプトに考案されただけあって、そのおいしさは伊達じゃありません。

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バーナーでこんがりと焼き色を付けた「チーズごはん」。「残ったスープに投入してリゾットにしてみてください。ヤバいくらいうまいですよ」と、島田さんはちょっと自慢気。説明するまでもなく、チーズとトマトスープはかなりの好相性。焦げたチーズも相まって、コク深いリゾットに早変わりします。

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新潟の燕三条ラーメンを参考にしたという「背脂煮干しらーめん」は2023年1月の限定メニュー。たっぷりと背脂を浮かべた熱々のスープからは、煮干しの香りがガツンと漂ってきます。モチモチの麺やバラ海苔など、食感や香りにいたるまで計算し尽くされた一杯です。月替わりの限定メニューをぜひチェックしてみてください。

食べる人を喜ばせるためのアイデアを惜しみなく披露

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店で使う麺はすべてカッパジャパンのセントラルキッチンで製造する自家製麺です。とまとらーめん用の麺は加水率を低く設定し、エッジの立ったシャープな麺肌が特徴。生地に強い圧力をかけることでギュッと密度感のある歯応えになり、濃厚スープをしっかりと持ち上げてくれます。背脂煮干しらーめん用には、中力粉を加えたツルツル・モチモチとしたうどんのような優しい印象の麺を採用しています。

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月替わりの限定メニューは店舗ごとに異なる内容で提供しています。「暑い時期は冷やしやさっぱり味のラーメンを、逆に寒い時期は背脂や辛い系などをやってきました。旬の食材を使うこともあります」と島田さん。

夢はアメリカ進出。世界に通用するラーメンにしたい

店主の島田拓郎さんは1978年に東京都羽村市で生まれました。学生の頃から起業意識が強かったそうで、曰く「一国一城の主になる」のが夢だったとか。飲食業界で経験を重ね、30歳を過ぎた頃に知り合いの紹介で青梅市「らーめん いつ樹」の伊藤店主と出会います。

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「当時は趣味でうどん作りにハマっていたんです。その話を伊藤さんにしたら『よかったらウチの製麺機を見に来ない?』って。ちょうど職を探している時期だったので、見学しに行った日に『ここで働かせてください!』と直談判しました(笑)」。そうして「いつ樹」に弟子入りした島田さんは、スープ作りや製麺技術をしっかりと習得し、晴れて独立。2012年に福生市で「カッパ64」を創業します。

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その2号店として「らーめん カッパハウス」をオープンさせたのが2014年。その後、埼玉と東京で3店舗を手掛けてきました。「創業時に考えた事業計画では、10年目で海外出店という目標を立てていました。新型コロナの影響もありまだ実現できてはいませんが、いずれはカッパブランドでアメリカ進出したいという野望は捨てていません」。

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「欧米人は食への姿勢が進んでいて、かなり前からグルテンフリーの食事を取り入れています。魚介類の生臭さにも敏感と聞きますから、もしアメリカにこの味を輸出するなら魚介を抑えるとかグルテンフリーの麺を使うとか、改良の必要はいくつもあるんです。気持ちが休まる暇はありませんが、世界を舞台にするためと考えればこんな楽しいことはないです」。創業から10年にわたり支持されてきたカッパグループの「とまとらーめん」。それを生み出した一国一城の主・島田さんは、さらなる高みを見据えて味の研究を続けています。

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